HSP完璧主義がしんどい理由|なぜこんなに疲れるのか?
HSPで完璧主義な人は、日常の小さなことでもエネルギーを消耗しやすい傾向があります。
その原因は、「周囲の反応に敏感であること」と「ミスを極端に恐れる思考」が重なることで、常に気を張り続ける状態になってしまうからです。
たとえば、社内メールを送る前に何度も文面を読み返したり、誰かに頼まれごとをされた際に「断ったら嫌われるかも」と悩んでしまったり。
さらに、上司に「これ、直しておいて」と軽く言われただけなのに「ミスした自分は信頼を失った」と必要以上に落ち込んでしまうこともあります。
このように、気を使いすぎるHSP特性と、完璧を求めすぎる思考が重なると、普通の人にとって何でもない1つの出来事に対して、何倍ものエネルギーを使ってしまいます。
だからこそ「毎日がしんどい」と感じてしまうのは、気のせいでも弱さでもありません。
HSP完璧主義という繊細でまじめな気質が引き起こす自然な反応なのです。
HSP完璧主義の人が抱えがちな「5つのしんどさ」
HSPで完璧主義な人は、周囲の人には見えない内側のがんばりを日々抱えています。
ここでは、よくある5つのしんどさを具体的な場面とあわせて紹介します。
人の目が気になりすぎて疲れる
他人のちょっとした表情や声色の変化に敏感に反応してしまうのは、HSPの特徴のひとつです。
たとえば、同僚からの返事が少し素っ気なかっただけで「何か気に障ることを言ってしまったかな…」と不安になってしまうことがあります。
自分では気を遣っているつもりでも「大丈夫」と思えるまでに時間がかかり、気づかぬうちに神経をすり減らしているのです。
その場ではうまくやり過ごしても、帰宅後に一人反省会が始まってしまうことも少なくありません。
断れず、無理してでも引き受けてしまう
「頼まれたら断れない」「迷惑をかけたくない」と感じるあまり、無理なスケジュールでも引き受けてしまうことがあります。
たとえば、本当は別の業務で手いっぱいなのに、後輩からの「お願いできますか?」に笑顔で「いいよ」と返してしまう。
一時的に感謝されても、そのぶん自分の作業が後ろ倒しになり、残業が続いてしまうことに。
疲れていても断れないのは、「相手をがっかりさせたくない」というやさしさの裏返しでもあるんです。
完璧じゃないと不安で、仕事に時間がかかる
「ミスがあるかもしれない」「もっと見やすくした方がいいかも」と思い続けてしまうと、シンプルな仕事にも想像以上の時間がかかってしまいます。
たとえば、A4サイズの資料を作るだけなのに、フォントの大きさやレイアウトを何度も調整し「これで本当にいいのか…」と送信までに1時間以上かけてしまう。
気づけば締切ギリギリで焦る。
そんな経験に心当たりはありませんか?
完璧を求める気持ちは誠実さの表れですが、それが終わらせられないクセになってしまうと、自分自身を苦しめてしまいます。
ミスや指摘を何日も引きずってしまう
HSP完璧主義の人は、小さなミスや軽い指摘でも「自分を否定された」と受け取ってしまいやすい傾向があります。
たとえば、上司に「この表、数字がずれてるよ」と言われたことを何日も思い出してしまい「またやってしまった」「やっぱり私はダメだな」と自己否定につながる。
すでに修正して問題が解決していても、心はなかなか切り替えられません。
頭では「たいしたことじゃない」とわかっていても、感情が追いつかないのがつらさの原因です。
自分にだけ厳しすぎて、褒めることができない
まわりの人のミスには「大丈夫だよ」「そんな日もあるよ」と声をかけられるのに、自分にはまったく同じことが言えないこともあります。
たとえば、無事に1日仕事を終えたのに「あれもやり残した」「これが中途半端だった」と、できなかった部分ばかりを探してしまう。
自分だけはちゃんとできて当然と思っているからこそ、どれだけ頑張っても満足にたどりつけません。
他人にやさしい分、自分にも少しだけ目を向けてあげられると、心の負担は少しずつ軽くなりますよ。
HSP完璧主義は悪じゃない。そのままでも強みになる理由
HSPで完璧主義なことを「直さなきゃ」「こんな自分はだめだ」と責めてしまう人もいますが、実はその特性は強みとして活かすことができます!
むしろ、今まで「生きづらさ」と感じていた部分には、周囲から見たら信頼につながる要素がたくさん隠れているんです。
たとえば、相手の小さな変化に気づけたり、細部まで丁寧に仕上げる力は、どの職場でも重宝される素質。
「この人なら安心して任せられる」と思ってもらえるのは、あなたが“ちゃんとやろう”と努力してきた積み重ねがあるからこそです。
誰かに頼まれごとをされたときに「丁寧で助かる」「いつも気が利いてる」と言われた経験がある人も多いのではないでしょうか。
もちろん、それが過剰になると苦しくなってしまいますが、HSPで完璧主義そのものが悪いわけではありません。
大切なのは「少しだけ力を抜くバランス」を身につけて、強みとして使っていくこと!
がんばりすぎない丁寧さこそが、あなたの魅力になるんです。
HSP完璧主義でもできる「8割で手を抜くコツ」5選
完璧を目指さなくても、きちんと伝わるし信頼は失われません。
ここでは「HSP完璧主義のままでも、ちょっとラクになる」ための具体的なコツを5つ紹介します。
ちょっとでも楽になれるコツがあるなら試してみたい!という方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
①メールや資料は“3回見直したら送信”と決める
見直せば見直すほど不安が増して、終わりが見えなくなるのは、HSP完璧主義さんあるあるです。
だからこそ「見直しは3回まで」とルールを決めると、心に一区切りがつきやすくなります。
たとえば、メールを打ち終えたらまず1回ざっと全体を確認する。
次に誤字脱字、3回目で敬語や語尾を整えたら完了。
それ以上はやりすぎサインと見なします。
制限を決めることで「これで大丈夫」と思えるラインが自分の中にできていきます。
②やらなかったことに「◎」をつけてみる
「やらなかった=ダメ」と思いがちですが、それは思い込みかもしれません。
1日の内でやらなかったことに丸をつけてみましょう!
あえてやらなかったことを意識することで、行動しなかった自分も肯定する練習になりますよ。
たとえば「今日は掃除をサボった」「インスタの投稿を見送った」など、やらなかったことを手帳やノートに書いて“丸”をつけてみてください。
心に余白が生まれ「今日はちゃんと休めた」と前向きに捉えられるようになります。
③他人のミスにどう感じたかを書いてみる
他人の失敗には寛容なのに、自分には厳しすぎる。
そんなギャップに気づくと、思考が柔らかくなります。
ポイントは、誰かの小さなミスを見たときに「どう感じたか」を書き出してみること。
たとえば「部長が資料の数字を間違えてたけど、全然気にならなかった」など、感情を言葉にすることで「あれ、自分もこれくらいでいいのかも」と思えてきます。
これは、他人と同じやさしさを自分にも向けるきっかけになる大切な気づきなんです。
④ちょっと雑な行動リストをあえて実行してみる
「きちんとやらなきゃ」が無意識のルールになっていると、力の抜き方がわからなくなります。
そこでおすすめなのが、ちょっと雑な行動をあえて実行してみることです。
たとえば「洗濯物はたたまずカゴに入れる」「お惣菜でごはんを済ませる」「返信は明日にする」など、小さなサボりを意識的に入れてみましょう!
繰り返すうちに「これでも大丈夫だったな」という安心感が少しずつ積み重なっていきます。
⑤1日の「できたことベース」で振り返る習慣をつくる
HSP完璧主義の人は、寝る前に反省会をしがちですが、毎日自分を責めていたら心がもちません。
そこで「できなかったこと」ではなく「できたこと」に注目する習慣を取り入れてみましょう。
たとえば「ちゃんと朝起きられた」「無事に資料を提出できた」「同僚にやさしくできた」など、小さなことでOKです!
この積み重ねが自己評価の物差しを変え、自分へのやさしさを育てる土台になります。
HSP完璧主義は直さなくていい。でもラクになることはできる
HSP完璧主義は、無理に直さなくても大丈夫です。
繊細で丁寧、がんばり屋なあなたの気質は、決して「直すべき欠点」ではありません。
ただし、そのままのやり方で無理を重ねてしまうと、心も体も疲れ切ってしまいます。
だからこそ「全部完璧にやらなくても大丈夫」「少しだけ手を抜いてもちゃんと伝わる」
そんな感覚を持てるようになると、ぐっと生きやすくなります。
ほんの少しずつでいいので、がんばりすぎない選択を自分に許していきましょう。
それが、HSPが完璧主義と無理なく付き合っていくためのコツです。